不登校など、学校や家庭に居場所を見つけられない子どもたちを支援しようと、長崎県五島市のNPO法人フリースペースつくしんぼ(草野久幸理事長)が、市の遊休施設を活用し、三井楽町に居場所施設「フリースペースつくしんぼ」を開設した。子どもたちの居場所や地域交流の場、島外から訪れる「離島留学生」の保護者の宿泊所など複合的な機能を持つ施設として運営する。
同法人は不登校や引きこもり支援、専門スタッフによる就労支援や居場所づくりに取り組んできた。今回、県立五島南高卒業生で、健康美容機器ブランド開発を手がけるMTG(名古屋市)社長の松下剛さんの個人寄付や、九州労働金庫、五島市内で「障がい者雇用支援事業」などを展開するJSH(東京)の支援を得て、活動拠点ともなる新たな施設の開設にこぎ着けた。
施設は旧三井楽町が建設し、グループホームとして使われていた木造平屋建て9部屋。奈良県からの移住者、村田明美さん(62)が寮母役を担い、埼玉県出身で施設近くに住む大江展弘さん(57)もスタッフとして支える。2人とも自身の子どもが不登校や引きこもりを経験しており、同じ苦しさを知る立場から子どもたちに寄り添う。
同校の「離島留学生」が生活する下宿先として来年度から少しずつ受け入れを始める予定で、不登校や引きこもりの子どもたちが自由に立ち寄れる居場所としても開放する。草野理事長は「何をしようと自由に過ごしてください、という場所にしたい。土日は家族連れも気軽に来てほしい」と話す。
同校では2018年度、不登校を経験した生徒の「生きる力」を育てようと離島留学制度を始め、「夢トライコース」を開設。本年度までに101人が入学し、うち島外からは79(県外は37)人に上る。中学時代に300日、400日と長期欠席していた生徒が同校では数日しか休まず卒業した例もあるという。
一方、保護者に代わって生徒を温かく見守りサポートする「島親」は現在6家庭にとどまる。
小西仁校長は「朝なかなか登校できない生徒もいる。そのたびに声をかけ続ける島親の精神的な負担は小さくない。募集しても引き受け手がなかなか見つからないのが現状だ」と明かす。その上で「子どもたちに寄り添える施設ができたことは非常に心強い」と期待を寄せる。
島外から子どもに会いに来る保護者の宿泊にも対応する。「ホテル代に交通費、それだけで親の負担は相当重い。気軽に来られる場所があれば、親子の絆も保ちやすい」と草野理事長。不登校の子どもが同校の高校生と交流したことをきっかけに進路を決めた事例もあるといい、「こういう生き方もあると気づける場所にしたい。子どもたちの可能性を広げる拠点になれば」と語る。
問い合わせは草野理事長(電090・1191・3292)。