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不登校の子が民間施設で活動した場合の「学校出席扱い」指針 学外の学びに寄り添う一歩に 上田市

■人とつながる場、刺激に 
上田市教育委員会は、不登校の小中学生がフリースクールなどで学んだ場合、学校の指導要録上、出席とするかを判断するためのガイドラインをまとめ、4月から運用している。市内の小中学校ではこれまで民間施設での活動が出席扱いになった例はなく、市教委は目安が必要と判断した。子ども一人一人のケースに合わせた柔軟な対応も求められる。
17日、市の中心市街地にある映画館「上田映劇」。学校に行きづらさを感じる子どもの居場所づくりに取り組む「うえだ子どもシネマクラブ」の本年度最初の上映会には、市内外の小中学生や高校生、保護者ら30人ほどが入れ代わり立ち代わり訪れた。
午後の上映後には監督が登壇し、作品に込めた思いも語った。今年からクラブに通う北信地方の女子中学生(14)は、2本の作品を鑑賞。「いろいろな価値観に触れることができ、刺激ももらえる。とても良い時間」と話した。
市教委がガイドラインの作成に着手したきっかけの一つが、同クラブからの要望だ。クラブは市内の3団体が2020年夏から運営。上田映劇での月2回の映画上映に加え、毎週水、金曜にも子どもが別館で自由に過ごしたり、映画館の仕事を手伝ったりしている。周辺自治体の学校ではクラブへの参加が出席扱いになっており、市でも同様に対応してほしい―と求めた。
ガイドラインでは、出席扱いの要件として「保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれている」ことなどを挙げた。施設が法人か個人かは問わず▽著しく営利本位でない▽人間味ある温かい相談や指導が行われている―といった項目を示している。
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17年施行の教育機会確保法は、不登校の児童生徒を国や自治体が支援することを初めて明記。文部科学省は19年10月の通知で、不登校の子どもたちへの支援について「学校に登校する」という結果のみを目標としないと打ち出した。多様な学びの機会を確保するため、学校外での活動を出席扱いとする判断の目安を学校や教育委員会が設けておくことが望ましいとする。
出席とするかは同法に基づき学校長が判断する。22年度はクラブ参加者のうち、上田市以外の東北信地方の中学に通う3年生5人が出席と認められた。在籍校の校長や教頭は「本人の成長につながっている」「職場体験的な面や人とつながる楽しさや喜びを覚えるという意味で、学びの場になっている」などとした。
県教委心の支援課によると、中学校の出席日数が公立高校の受験で有利不利に働くことはない。それでも出席と扱う意義について、同課の山寺政幸・生徒指導係長は「自分の学びが肯定されたという安心感が生まれ、将来の自立につながる」と指摘する。
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本年度、シネマクラブへの参加が出席扱いになっている児童生徒は今のところいない。希望する子どもや保護者がまだいないためだ。クラブを運営するNPO法人の一つ、アイダオの事務局を務める直井恵さん(44)は、ガイドライン作成が「子どもや保護者にとって安心材料になるのではないか」と受け止める。「学校や学びとは何かをいま一度、解きほぐして考えるきっかけになってほしい」と期待を込める。
長野大(上田市)社会福祉学部の早坂淳教授(46)=教育学=は「国が一手に引き受けてきた教育を、民間団体と手を取り合ってやっていこうという流れになってきている」と説明。ガイドラインは体罰など不適切な指導を行わないといったことを民間施設に求めており、「ガイドラインは学校が改めて襟を正す機会にもなり得る。子どもの幸せにつながる運用をすることが重要」としている。(信濃毎日新聞)


カテゴリー: 長野県

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