自民党の有志議員は、子どもの虐待や不登校、いじめなどの課題を網羅的に把握したうえで、厚労省や文科省など各省庁にまたがる施策を一元的に担当する「こども庁」の創設に向けた緊急提言をまとめました。
会合では木原衆院議員が「子どもファーストの行政を実現する。そのためにこども庁を目指していく」と述べ、行政の縦割り克服の必要性などを訴えました。
提言では、ほかにも子育て関連の予算を倍増することなども求めていて、有志議員は近く、この提言を政府に提出する方針です。
自民党の有志議員は、子どもの虐待や不登校、いじめなどの課題を網羅的に把握したうえで、厚労省や文科省など各省庁にまたがる施策を一元的に担当する「こども庁」の創設に向けた緊急提言をまとめました。
会合では木原衆院議員が「子どもファーストの行政を実現する。そのためにこども庁を目指していく」と述べ、行政の縦割り克服の必要性などを訴えました。
提言では、ほかにも子育て関連の予算を倍増することなども求めていて、有志議員は近く、この提言を政府に提出する方針です。
HSC/HSPとは、「Highly Sensitive Child/Person(ハイリー・センシティブ・チャイルド/パーソン)」の略で、人一倍敏感な特性をもつ人を意味し、日本人の5人に1人はHSC/HSPの傾向があるという。
アダプティブな対話型のデジタル教材「すらら」を提供する株式会社すららネット(以下、すららネット)は、こうしたHSCの子どもとの関わり方に関する講座を実施。併せて、不登校の生徒がIT教材を使って自宅で学習し、それが出席扱いになる制度の説明をオンラインで行なった。
■制度の認知度は低いが、子どもたちの可能性を広げる「不登校生徒の出席扱い制度」
不登校生徒の出席扱い制度は、不登校の児童生徒が「すらら」などのデジタル教材を使って自宅で学習し、その学習活動を学校に出席扱いとして認めてもらうもので、平成17年度から始まった。しかし、「その認知度は低く、あまり活用されていないのが現状だ」とすららネットの「子どもの発達相談室」室長を務める佐々木章太氏は話す。
すららネットが、同制度への対応を始めたのは6年前。家庭学習にすららを活用していた子どもが、中2の時に、この制度を使って出席扱いになったことがきっかけだった。その生徒は中学では学校に復帰できなかったものの、高校入学後は登校を再開し、入学後の最初のテストでは満点をとったいう。
佐々木氏は「家庭でちゃんと勉強している努力を学校の先生も見てくれていることが子どもの背中を押してくれた、という話を保護者の方から聞き、不登校の生徒に対しては、保護者だけでなく、他の大人の存在が大きいとを感じた」と活動のきっかけを語った。
ただし、不登校での出席扱い制度を利用するには、①「文科省が定義する『不登校』に該当していること」、②「文科省の要件を満たした『状況』と『学習教材』であること」、③「学校が定義する『1日の出席条件』を満たすこと」、という3つのポイントを満たす必要がある。
1つめの文部科学省の定義は、同省のウェブサイト「不登校児童生徒への支援の在り方について」に明記されており、対象は小学生から中学生まで。「学校復帰を目的に、学習活動を応援する」制度であり、中学校では内申点対策にも活用できる可能性もある。ただし、3つめの「1日の出席条件」は学校がルールを設定するため、学校ごとに条件が異なる。
佐々木氏はこの制度について、これひとつで不登校の解決をめざすものではないと強調する。「子どもが不登校になったとき自暴自棄になったり、自己肯定感が崩れたりすることがあるが、その際、もう一度“自分を大事にする”意欲を醸成するために、この制度を使うことに大きな利点がある。プラスの感情につながる、ひとつのきっかけとして考えてほしい」と話す。
岐阜市は二十八日、不登校の生徒を対象に来年四月開校予定の公立の不登校特例校「草潤(そうじゅん)中学校」の応援寄付を、ふるさと納税などで募集すると発表した。来年十月末まで受け付ける。
寄付金は備品や教材を購入する費用に充てる。市は同時に、教室などのカーテンや校庭に設置するベンチなど物品の寄付も募集する。柴橋正直市長は「生徒が心身の健康を保つことができ、より充実した学校生活を送ることができる事業に活用したい」と話した。
ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で申し込むか、岐阜市のホームページからダウンロードした申込書を、市教委教育政策課不登校特例校設置準備室にファクスなどで送る。
問い合わせは、同準備室:058(214)2240
福岡市は、不登校などで長期欠席する小中学生の実態や支援のあり方を有識者らがまとめた報告書を公表した。2009年度に1600人だった長期欠席者は年々増え、17年度に3千人を突破。18年度は3584人と過去最多を6年連続で更新した。保育所や幼稚園と小学校との連絡会議の充実や専門職を増やすことなどを提言しており、市教育委員会は本年度内にモデル校を選定し、対策や効果を検証する方針。
報告書は学識関係者や小児科医、スクールカウンセラーなどで構成する市登校支援対策会議が昨年11月から協議し、まとめた。不登校や病気などで年度内に連続または断続的に30日以上欠席した「長期欠席者」について、15年度と18年度を比べると、小学校は973人から1578人、中学校は1594人から2006人に増えた。小学1、2年の増加率が大きいという。
小中学生へのアンケートによると、学級で過ごす児童生徒の8割超が「学校に安心できる居場所がある」と答えたのに対し、フリースクールなど学校外施設で学習している場合だと「居場所がある」は3割にとどまった。学級で過ごす8割超は「授業内容に満足している」と回答したが、学級ではなく学校の別室で過ごす児童生徒だと5割に満たなかった。
報告書では、中学校区に1人ずつ配置している教育相談コーディネーター(旧不登校対応教員)を小学校にも置くのが望ましいとし、公民館など学校外での居場所づくり、スクールソーシャルワーカーの拡充も求めている。
新型コロナウイルス対策で教室の「3密」回避のため、文部科学省が小中学校の「少人数学級」の拡充に向けた検討を進めている。菅義偉(すが・よしひで)政権が継承した教育改革の柱の一つとなり、来年度からの段階的な導入を目指す。現行の1クラス40人(小学1年は35人)を30人程度とする案が浮上しており、実現すればいじめや不登校を解消する効果が期待できるが、教員の大幅な増員が必要となるため、財源の捻出や質の確保といった課題もある。
■教師の負担軽減
「必要性を真正面から訴え、実現に向けて努力したい」。萩生田光一文科相は再任後の会見で、少人数学級拡充に意欲を示した。
1クラスの人数は、義務標準法で上限が定められている。法律制定当初の昭和34年度は50人だったが、39年度に45人、55年度に40人に引き下げられた。平成23年度には手厚い支援が必要とされる小1を35人とした。現在は都道府県教育委員会などの判断で柔軟な学級編成が可能となっており、一部の学校で独自に少人数学級を導入している自治体も増えている。
川崎市立小の男性校長(57)は少人数学級のメリットを次のように語る。
「子供一人一人と向き合う時間を確保でき、トラブルに対処しやすくなる」
同校では研究事業の一環で、116人いる6年生に少人数学級を導入。3年前から本来は各39人の3クラスとなるところを、教員1人の増員を受けて各29人の4クラスに編成している。
この学年では3年前、複数の児童が関わるいじめ問題が発生したが、当事者となった児童らを別々のクラスに分散させ、子供同士の接触を回避することで問題を解決することができた。校長は「学級数が3つと4つでは、運用の柔軟性が格段に違う」と強調する。
答案の添削など担任教諭の事務仕事も軽減され、児童と密接に関わる時間を捻出できたことも、手厚い対応を可能にした。校長は「学級規模が小さすぎてもグループ学習などの幅が制限されるので、30人前後が適正だろう」と話す。
■課題は財源確保
少人数学級が改めて注目されたのは、コロナ禍の教室で子供同士の距離の確保に迫られたからだ。一般的な広さ63平方メートル(縦9メートル、横7メートル)の教室では、40人が1メートルの間隔を設けるのは困難。30人なら十分なゆとりを確保できる。政府の教育再生実行会議が今月8日、拡充の必要性を中間答申としてまとめており、文科省は来年度から段階的な導入を視野に入れている。
ただ、課題となるのが財源だ。教育関係者らでつくる「ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会」の試算によると、30人学級の実現には約4万6千~6万2千人の教員が必要で、国と地方を合わせて約3600億~4900億円の追加予算がかかるとされる。過去にも文科省が35人学級を中3まで拡大しようとしたが、財源の壁に阻まれ断念を余儀なくされた。
さらに、教員志望者の減少により教員採用試験の競争率の低下が問題視される中、優秀な人材を確保できるかも議論が必要だ。
慶応大の赤林英夫教授(教育経済学)は「指導力が不足した教員が増えれば、教育の質の維持が困難となる。オンライン授業や、教員の事務量を軽減するサポート職の採用など、学級規模だけに終始しない、総合的な議論が必要となる」と指摘している。
■不登校解消の効果も
新型コロナウイルスに伴う分散登校によって、学校現場に一時的な「少人数学級」が実現したことで、児童生徒の不登校が解消されたとする報告もある。
大阪府箕面(みのお)市の市立小中学校は6月15日の本格的な再開を前に、5月11日から分散登校を始め、1クラスの人数を段階的に増やしていった。市教育委員会が前年度に不登校(10日以上)だった児童生徒(114人)の登校状況を調べたところ、登校した割合はクラスの人数が少ないほど上昇していることが判明した。
1クラスの人数が9人の時期(5月25日の週)は49%が登校したが、20人となった時期(6月1日の週)には42%に減少。通常の40人(6月15日の週)に戻ると、32%まで大きく減った。市教委の担当者は「不登校の子供にとってクラスの人数が壁となっている。少人数学級は問題を解消する一つの手立てとなるのではないか」と話した。