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不登校後の今 学歴・仕事は何をしているの? 【佐藤さんの場合 #4】

取材

2017年07月31日

不登校になると、偏差値や内申点の問題から、高校進学の選択が狭まってしまうことが多いもの。そのため、大学進学を諦める方や、就職もできないのでは? と考える方は少なくないのではないでしょうか。
実際、この不登校サポートナビにも、そういった不安の声が寄せられることがあります。

不登校経験者・佐藤さんへのインタビュー最終回となるこの記事では、現在の学歴や仕事について伺ってみました。

【こちらの記事もご覧ください】

なぜ不登校になったの?【佐藤さんの場合 #1】

不登校になった時の親との関係は? 親にどう思ってた?【佐藤さんの場合 #2】

不登校から変われたきっかけは? 【佐藤さんの場合 #3】

今の学歴は?

── バイト期間中は、どんなことを考えていましたか?

佐藤さん「収入が低いのが嫌で、バイトのままじゃいけない、と思っていました。それに、バイト先では周りは大学生ばっかりだし、地元の友達も大学進学で東京にでてくる子も多くなって、すごく楽しそうだった。それで、私も大学に行きたいと思うようになりました。大学に行って、自分の学校に行けなかった経験を、子ども達のために役に立てたいという気持ちもありましたね。それで、大学入学のために高卒認定資格を取ることにしました」

── 勉強はどのように行っていたんですか?

佐藤さん「お金もなかったので、ほとんど独学で勉強しました。勉強がほぼ小学校以来だったので、とにかくやり方もわからず、ひたすら覚えるような感じでしたね。でもバイトをしながらということもあって、全教科を一気に勉強することができず、全て合格するまでに丸3年間かかってしまいました※」
※高卒認定は8~10科目合格しなければいけないが、1度合格した科目は失効することがないため、数年かけて取得する人も多い

── そのまま大学へ進学したのでしょうか?

佐藤さん「いえ、結局大学には行っていないんです。受験の時に精神的に参ってしまって……。やってもやっても何も覚えられないような状態だったので、今回は無理だから止めておこうと実家に帰ったんです。
最初は、実家で働きながら勉強しようと思ってたんですが、働きだして時間が全然ないし、実家だと親と話しちゃうし、結局勉強は全然しなくなってしまったんですよね」

佐藤さんの今の仕事

── 働いていたということですが、お仕事は何をしていたんですか?

佐藤さん「国関連の仕事の事務や、司法書士の補助として働いていました」

── 仕事を探す時、学歴は壁にならなかったですか?

佐藤さん「募集条件ってだいたい高卒からなんですよね。でも私の最終学歴は高校中退(中卒)なので、『高卒認定資格はありますが大丈夫ですか』と確認してから、面接に行ってました。面接の時も、特に学歴に触れられることはなかったです。むしろ面接官の人も『高卒認定ってなに?』って感じだったので、中途だとあまり関係ないかもしれないですね」

── 現在は、また東京に上京してきているんですよね。

佐藤さん東京は自分が変われた場所だし、友達もたくさんいるので、地元で働いていたときも、ずっと東京に戻りたいと思っていたんです。仕事も、地元のときと同じ行政書士の補助としてちゃんと働けていますね」

── なるほど。それでは最後に、不登校で悩まれている方に向けてなにかメッセージを頂けますか。

佐藤さん「とにかく、生きていればどうにかなる。辛かったら頑張らなくてもいいんです。
子どもの時って、視野も狭いし選択肢が少ないから、出口がないような気がしちゃうじゃないですか。けど、選択肢が広がってくれば、大丈夫かもって思える気がします。
私は人に会うことで変われたんですが、話を聞いて人の価値観に触れると『こういう考え方もあるのか』って発見があるんです。だから、選択肢を増やすためにも、誰かに悩みを話してみて欲しいですね。
親御さんには、子どもが行きたくないと言ったら、それをまずは受け止めてあげて欲しいと思います。子どもは、親が厳しかったら、行けとしか言われなかったら、逃げ道はないですよね。
そして、親も子どもも、自分を一番大切にして欲しい。自分がいっぱいいっぱいだと、人のことなんて100%大切にはできないですもん」

このコラムの著者

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株式会社クリスク  ライター
北海道出身。中学時代に約2年間いじめにあい不登校になりかける。高校では放送部に熱中し、その後大学へと進学。上京してはじめて、学校以外の居場所や立場の違う人と接し、コミュニケーションについて考えるように。現在は自分の経験を活かし、子供の悩みや進学に関する悩みについての記事を執筆。