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ダラダラしている子どもにイライラ! 心理学者に「子どもがやる気を出すコツ」を聞いてみた

取材

2017年02月2日

勉強を促しても遊びやゲームに夢中、毎日ダラダラしているように見える……。そんな子どもの様子に、ついイライラしたり不安を感じたりすることはありませんか?
子どもがやる気を出してくれるにはどうしたらいいのだろう、と悩む親御さんは多いかもしれません。

そこで今回は、心理学者の鶴田みさ先生に「子どものやる気はどうしたら出るのか」を教えて頂きました。

大前提 子どもは子どもなりに考えている


子どもがなかなかやる気を出してくれないと、親はつい口出しをしてしまいたくなる時があるかもしれません。しかし大人でも、やろうと思っていたことを先に言われて、やる気が削がれた記憶はありませんか?
ダラダラしているように見えても、子どもなりに考え悩んでいることは多いので、まずは子どもの決断やペースを尊重し、気がかりなことがあっても介入しないで見守ることも必要だということは、ぜひ覚えておいて頂きたいです。

その上で、動けなくなっている子どもをサポートするための方法をお伝えしたいと思います。

目標を立てるとやる気が出てくる?

やる気を出すための方法として、目標を持つことが役に立ちます。目標を立てると向かうべき方向が明確になります。すると脳の働きは活発になり、その目標に関することへのアンテナが敏感になってくるのです。その結果、無気力状態から抜け出し、興味のあることのために行動ができるようになります。
さらに、「目標を立てる → 行動する → 達成する」という成功体験自体が、子どものやる気や自信にも繋がってきます。

ただし、子どもによっては、目標に縛られて辛くなってしまう場合もあるので、向かうものがあった方が頑張れるタイプなのか、自由に取り組む方が向いているタイプなのか、子どもの個性を見極め、辛そうなら目標の整理を手伝ってあげることも必要でしょう。

コツを押さえて、挫折しない目標を立てる


目標を立てても、途中で挫折することが続けば、自信を失ってしまう場合もあります。目標達成にはコツがあるので、目標を立てる際は以下のポイントに気をつけてみて下さい。

1. 目標は簡単なものから設定する

例えば、不登校気味の子どもがいきなり「毎日学校へ通えるようになる」ことを目標にしても、達成できずに自信をなくしてしまうかもしれません。まずは、「3時間目から通う」、「金曜日だけ通う」など少し頑張ればできそうな目標から始めることで、子どものプレッシャーも軽減されます。もしも学校へ行くこと自体が難しい場合でも、毎日の生活の中で「起きたら出掛けられる服に着替える」「21時に寝る」などの、ちょっと頑張ればできそうな目標を設定すると良いでしょう。

2. 子どもに目標達成のメリットを認識させる

親目線ではなく、あくまで子どものメリットを認識してもらいましょう。例えば、勉強しておけば将来やりたいことができた時に進学しやすいとか、修学旅行も友達との思い出が増えるよ、など、いやだと思っていることのいい面も伝えてみて下さい。他にも、目標を達成したら、子どもが行きたい場所に連れていく、1日中ゲームをやって良い日を作るなど、ご褒美をあげるのもたまにならば効果的です。

3. 子どもと親が一緒に目標を立て行動する

親が一方的に目標を決めると、押し付けられていると感じた子どものやる気は下がってしまいます。できることできないことを話し合う、親自身も目標を作り、子どもと一緒に目標を達成に向け行動していくことで、お互いが応援し合う関係ができるでしょう。

4. 子どもが興味・関心のあるものから目標を選ぶ

子どもが興味・関心を持っているものの中から、目標を設定してみましょう。目標とは、苦手なものを克服するためのものだとは限りません。もしも、子どもが関心を持っている事柄が一見将来の役に立たないようなものだったとしても、その能力を広げていく過程で達成感や自己肯定感を得られれば、今まで興味を示さなかったり苦手意識があったりする分野に対しても、やる気が出ることも大いにあります。

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鶴田先生いわく、コツを押さえた目標設定を達成することで自信がつき、次の目標が生まれる……といったように、良い循環ができるということでした。
今回は、「やる気を出すために目標設定をする」という方法をお伝えしましたが、この記事の前半でも少し触れたように、そもそも親の意識が子どものやる気を奪っている場合もあるのだそう。
次回、親の意識と子どものやる気の関係について深くお聞きしていきます。
→ やる気を奪う親にならないために 心理学者に聞く「子どもの自立のために親ができること」

(文・不登校サポートナビ編集部)

取材協力


turuta_p鶴田みさ

一橋大学法学部卒業後、メーカーにて勤務。その後、機会を得て渡米し、ニューヨーク大学で教育心理学修士、ニュースクール大学で博士号を修得(認知・社会・発達心理学)。現在はカウンセリングルームでカウンセラーをするほか、心理サービスを提供する個人事業・オープンマインドを運営。ダンス・ヨガの経験を活かし、症状軽減だけではなく、個人が成長しクリエイティブになれるサービスを提供する。

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