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今の学校だけが学びの場ではない。学びの可能性を考えよう。

不登校全般

2014年11月12日

「不登校」と聞いて、どんなことがイメージされるでしょうか。「家にいるかわいそうな子」「将来が心配」などと、ネガティブな見方をする人も少なくないかもしれません。

学校に通っていれば勉強はもちろん、友達と楽しく話をしたり、部活動に打ち込んだりと、充実した時間を過ごすことができます。「それなのに、何故?」という思いを抱かれるのではないでしょうか。

ですが、そこには、いじめを受けていたり、学校の指導についていけなかったり、家庭や本人の健康状態に問題があるなどさまざまなケースが潜んでいることが考えられます。何らかの理由があるにも関わらず、その問題に向き合わずに、学校へ行かせることだけを目的としても、子どもを苦しめるだけなのではないでしょうか。

「学校へ行かない=学べない」ではなく、学べる機会と環境を

もし不登校を、子どもの甘えだとか、普通と違う変な子などという一方的な見方で捉えるならば、子どもの心を深く傷つけるばかりでなく、大人の指導力不足の責任を子どもに押し付けることにもなりかねません。

むしろ不登校を学校教育や社会、大人に対する抵抗のサインとして捉え、問題は何なのか、どういった支援ができるのかを真剣に考える機会とするべきなのではないでしょうか。

登校していない理由には個人差がありますが、学校へ通えていないことが学ぶ権利の喪失につながってはいけません。自己実現に対する意欲、成長する学習の機 会は誰にでも与えられなくてはならないのです。そのために、あらゆる可能性を含めて教育のあり方が問われてもいいのではないでしょうか。

実際に、小中学校の段階なら出席数を気にするよりも、日常生活のけじめや基本的な人間関係、基礎学力を養うことの方が重要です。それらを家庭で学ぶことも可能ではありますが、社会的なつながりの中で学ぶことの方が非常に多いのです。

子どもの状況に応じて通えるフリースペースや、フリースクールなどの施設を利用することはとても有効な手段です。同じような課題に直面している子どもとの 関係からの学びや、親同士の悩みも共有できるでしょう。家から出ることができない場合には、訪問してくれるサポートもあります。

幸せの形は1つじゃない。自分に合った学習方法を見つけよう。

高校生になると出席数が足りなければ退学になります。
ですが、一般的な全日制に通う方法でなくても、定時制や単位制、通信制など学校への通い方は様々です。サポート校・フリースクールなどを利用して勉強を補っていくこともできます。その他、高卒認定のシステムもあるため自分にあった学習方法を選択していくこともできるでしょう。

今は、大学を卒業して大手の企業に就職できれば幸せが保障されるような時代ではなくなりつつあります。ライフスタイルが大きく変化している状況下で、画一的な教育を進めることが限界に近づいているのかもしれません。

多様化する生き方に対応するために、家庭や地域、学校が連携し、時代のニーズを踏まえた教育に進化していくことが求められています。

このコラムの著者

星野有史星野有史

1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。