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親子二代で不登校 両方を経験したからこそ伝えたいこと

中学生

2019年05月13日

「不登校の子どもの気持ちを理解できない」

「親は自分の気持ちをわかってくれない」

不登校ということで、親と子がお互いの気持ちや考えが理解できずに、衝突してしまうこともあるのではないでしょうか。

今回お話を聞いた女性・木村さんは、中学1年生から3年生の2学期まで不登校になりました。その後、娘と息子を育てる母となりましたが、娘も中学生で不登校になったといいます。
不登校当事者とその親、両方の立場を経験した今だから言えることを伺いました。

木村さんが不登校になった理由は前回の記事をご覧ください。
「明日は行くね」 不登校の私が母にそう言ってしまった理由

16歳で出産、娘が不登校に

チャレンジ教室を経て、中学校へ戻った木村さん。その後は高校進学をしようと考えましたが、登校日数が少ないため選択できる高校が少なく、とりあえず情報処理が学べる通学型の通信制高校へ入学しました。

しかし、将来なりたいものも無く、勉強する内容にも興味が持てずにいました。そうして学校へは徐々に行かなくなり、半年ほどで高校を退学。高校で知り合った友人と夜遊びや外泊を繰り返すように。家に帰ってこない木村さんに母親は電話をかけ続けました。

「母親がすごく厳しい人で、当時はウザかった。だから家から離れたい気持ちが強かったです」

家に帰ったり帰らなかったりの生活を続けていた16歳の時、木村さんの妊娠が発覚します。家族のサポートもあり出産するも、夫からのDVが始まり離婚。その後、外国人の男性と交際・再婚し息子を出産しました。

出産して間もない頃の木村さんと娘

 

「やっと生活が落ち着いた」そう思ったころ、娘が中学2年生で不登校に。友人関係での揉め事や親の再婚など、気持ちの整理が出来ず反抗的になっていきました。

自分も不登校を経験していた木村さんですが、当時は娘を無理やり学校に行かせようとしてしまったと言います。

「私は不登校だったことを大人になって後悔したんですよね。不登校だったから高校も選べずに結局中退してしまった。だから色んな選択肢が少なくて、大人になって困ることがたくさんあった。だからこそ、娘には学校に行って欲しいと思っていました。それしか見えてなかったんですよね。娘の気持ちよりも」

不登校になったことで自分が味わった苦労を娘には味あわせたくない。

その思いから、自分が嫌だったことを娘にしてしまっていた木村さん。そんな時、娘を支えたのは血のつながらない父親(木村さんの夫)でした。

「学校に行くのは自分の気持ち次第。母親が決めることじゃない」と言って、娘と木村さんの間を取り持つ父親に、娘も心を開いていったといいます。

自分だけと諦めないで

自身と娘の不登校、10代での出産、DV被害など大変な経験をしてきた木村さん。

現在は、自分の発達障害の特性を活かした児童発達支援の仕事と、夫の国籍であるギニアのためにさまざまなボランティア活動を行っています。

ボランティアでギニアの子どもたちに、手洗いの大切さを教える木村さん

 

「ボランティアのことでときどき講演もするんですけど、文章を書くのも読むのも本当に苦手だし、人前で話すのも大嫌いなんです。でも、親の私が逃げていたら、子どもに苦手なことでも頑張ってみたらって言えないじゃないですか(笑)」

不登校の当事者の立場、親の立場。その両方の経験を社会に還元している木村さんですが、今は不登校についてどう思っているのでしょうか。

「不登校してる子って、それだけで罪の意識を感じるんですよ。だから親御さんには、今日朝起きれたねとか、食欲があって良かったとか、このテレビ面白いよねとか、簡単なことでも一緒に喜んであげて欲しい。

ただ、私は親の立場もやったから分かるんですけど、親もなかなかそんな余裕がないんですよね。

そんな親御さんは、気持ちを吐き出せる人や場所があると、少しだけでも楽になれるんじゃないかなと思います。けして一人で抱え込まず、自分を責めないでください。そして子どもも責めないでください。不登校の時間が、きっと強い力となり良い経験になってくれると思います」

このコラムの著者

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株式会社クリスク  ライター
北海道出身。中学時代に約2年間いじめにあい不登校になりかける。高校では放送部に熱中し、その後大学へと進学。上京してはじめて、学校以外の居場所や立場の違う人と接し、コミュニケーションについて考えるように。現在は自分の経験を活かし、子供の悩みや進学に関する悩みについての記事を執筆。