不登校サポートナビ

Home>不登校の原因・対策解説ノート > 高校生 > 不登校から通信制高校を卒業するのは簡単? それとも難しい?

不登校から通信制高校を卒業するのは簡単? それとも難しい?

高校生

全日制の学校だけではなく、フリースクールや通信制高校といった選択肢が増えてきていることは、不登校の状態にある子どもたちにとって、とても喜ばしいことです。

通信制高校では、私立の場合は入学試験がないところがほとんど。入学時期についても自由度が高く、どの時期からでも入学できるタイプが多いので、入学自体はそれほど難しくないでしょう。

ただ一方で、みんなが簡単に卒業できるわけではないという事実もあります。それは一体なぜなのでしょうか?

なぜ通信制高校の卒業は困難なのか?

不登校から通信制高校を卒業

全日制の高校であれば時間割があるので、これに沿って勉強すれば卒業できるでしょう。
テストで良くない点をとっても、放課後の補修や追加テストを受ければ問題ありません。決められた通りみんなとやっていけばよいのです。

ですが、通信制は課題があるだけで、あとは全部自由です。勉強をして、レポートを作成して、学校に行く。こういったことを全て自分で決めなければなりません。

テストやレポートの内容がものすごく難しいというわけではありませんが、自分で自分の行動を制御し、やらなければならないことを期日までに達成する、決められた頻度で学校に通う、こうしたことができずに、卒業が遅れてしまう人がとても多いのです。

こう言うと、「そんな大変な思いをしてまで高校へ行くのはなぜ? 自分には無理…」と思う人もいるかもしれません。ですが、きちんと対策をすれば卒業の可能性はぐっと上がるので安心してください。

通信制高校を卒業するために必要なこと

① なぜ高校に行って卒業した方がいいのかを整理する

高校は小中学校のように義務教育ではないので、必ずしも行く必要はありません。働いて自立している人もたくさんいます。ではなぜ多くの人が高校へ行くのでしょう?
「みんなが行くから」という声が聞こえてきそうですね。実際にそういう人も多いはずです。

現実的には、高校を卒業していないと就職が不利になる、資格が取れない、大学に進学したいと思ってもできない、という問題が出てきます。
求人サイトを少し見てみて下さい。学歴不問の求人を見ても、「高卒以上」と書かれていることは想像よりも多いと思います。

ほかにも、興味のある分野に進めない、自分の将来像を決めきれていない、などの問題も出てくるかもしれません。

高校生という期間は、社会への視野を広げる期間になります。
そして、高卒資格を得るということは、将来の進路に幅を持たせてくれるということなのです。

② 色々な経験や人と出会うことの必要性を考える

あなたが将来を選択したいと思うのなら、まずは選択肢を増やす必要があります。そのためには、多くの人や分野に触れながら、知識や技術を身に付けていくことがとても重要です。

ですが、通信制高校では、学校に通う頻度も少ないので、校内でのかかわり合いは全日制よりも少なくなってしまいます。なので、自由な時間を活かして、ボランティアやアルバイトをして人間関係を広げたり、サポート校を利用して資格の勉強や職業体験をしたりといった形で、自分の可能性を試すなど、学校にとらわれない活動も合わせて行った方がいいかもしれません。

③ フリースクールやサポート校など、自分にあったサポートを利用する

通信制の高校では毎日の時間割があるわけではないので、どう勉強していけばよいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

勉強する習慣がついていない、基礎学力が足りなくて勉強がわからない。そんな時に頼りになるのがフリースクールやサポート校です。
レポートの書き方指導、それぞれの学習課題に応じた支援をしてくれます。

サポート校などは、入学の時期が自由なところも多いので、一人で頑張ろうとしたけど上手くいかなかった……という人は、一度相談してみるといいかもしれません。

一人で抱え込まないで、迷ったら相談してみよう

不登校などが理由で全日制の高校を退学したとしても、定時制や単位制、通信制などの学校へ転校・再入学することは可能です。
ですが、学び方の違いが生活全体に関わってくるため、しっかり目標を見据えて過ごさなければ、自分を見失う危険性もあります。

フリースクールやサポート校といった、具体的な学習支援やたくさんの機会を提供してくれる機関もあるので、通信制高校での勉強に不安があるなら、このような場所に相談に行ってみることもきっと役に立つでしょう。

このコラムの著者

星野有史星野有史

1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。