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学校での勉強だけが全てじゃない。学ぶ姿勢と意欲を大切に。

中学生

2014年11月1日

  • 授業に出ても勉強についていけない
  • 「またあいつに放課後いじめられる、先生は見て見ないふりをしている」といった人間関係に対する不信がある
  • 家庭の不和や経済的な問題から身動きが取れない

など、不登校をしている子供には色々な事情があります。
中学生の場合は、こうした状況に加えて、さらに”高校受験”というものが追い打ちをかけてしまうことも珍しくはありません。

そんな時こそ親や大人が、「何とかこの状態を脱出していかなければ」と焦る子どもの気持ちを受け止め、フォローしてあげなければなりません。

偏差値という物差しでは、個人の事情や心まで評価することはできません。複雑な問題が絡み合う状態の中、学校に行けないことを誰が批難できるでしょうか。むしろ、不登校という状況に追い込んでしまっている大人や教育の課題として考えていくことも必要です。

「義務教育だから、学校に行きなさい」と無理に背中を押しても、かえって子どもの心の鍵は閉ざされてしまうことになりかねません。
かといって、部屋に閉じこもって昼夜逆転の生活を送っていては、心身共に健康的ではありません。

それでは、どうしたら心のドアを開ける鍵を見つけることができるのでしょうか。

教科書を開くことだけが”勉強”なのか?

不登校を問題視するのではなく、どう対応していくのかをしっかりと考えることが必要です。

学校の特別学級や、教育研究所などには各自の状態に適応できるような支援体制が取られています。こうした機関を利用してもいいですし、学校によってはフリースクールに通うことで出席とみなされることもあります。
あえて誤解を恐れずに言うならば、義務教育だからといって必ずしも登校しなければ卒業できないというわけではないのです。

勉強は教科書を開くことだけが全てではないはずです。
例えば、家事・ボランティア、自然環境に対する取り組みなど、子どもの興味・関心事において、さまざまな経験をつむ意味や価値を認めてあげるべきです。その結果はすぐに出ないかもしれませんが、必ず将来の引出しになります。子ども達には、そういった教育が必要なのではないでしょうか。

前向きに頑張っていける学び方が見つかればいい

夢や希望を持つことができれば、勉強をするモチベーションも高められるかもしれません。そしてそれが具体的な目標となって、達成感を得られるような体験になれば、学ぶことがさらに楽しくなるかもしれません。

ですが、もっと人としての成長や、将来の可能性が重視される学び方があってもいいのではないでしょうか?

複雑な社会の今、子どもが置かれている状況や経験、多様な生き方に対する自己評価がうまく尊重されるような教育が必要とされているように思います。大人への階段をのぼりだしている子どもを温かく見守り、その人格を尊重した関わりが、教育に求められていると感じます。

このコラムの著者

星野有史星野有史

1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。