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ひきこもりの自分を変えたいあなたに伝えたいこと

社会人

「いったい自分は何をしているのだろう。一日中家にいて寝ていただけじゃないか」とか「今の自分を何とか変えたい!」といった漠然とした思いを抱えつつも、突破口が見つけられずに部屋にひきこもっている人が多いのはなぜでしょう。

その理由として、不安定な雇用環境や、再出発がしにくいシステムに対する不満などを口にする人もいます。確かにそれは社会が抱えている課題でもあり、その理由にも一理あると言えるでしょう。

ただ、不満を訴えたからといってすぐに世の中が希望通りに変わるわけではないので、現実を適切に踏まえて、それぞれの生き方を考えていかなければならないでしょう。

人との出会いで得られる気付き、学びが人生を変える

引きこもりの自分を変えたいあなたに伝えたいこと

とにかく、部屋にいても何もはじまりません。

ネットを活用した仕事もありますが、それでも社会に出て視野を広げる必要があります。
生の声を聞いて、実際に見て触れる経験に勝るものはありません。
そして、アルバイトでも、ボランティア活動でも、誰かのために役立っているという実感が自分の存在の証になるでしょう。
人と出会い、触れ合うことで、自分が成長するきっかけとなるのです。

ではここで、ボランティア体験をしたAさんの事例をご紹介します。

Aさんは、中学・高校と友人であるBさんに、Bさんが働く高齢者施設でのボランティアを頼まれました。
Bさんには日頃から相談に乗ってもらったり、お昼をごちそうになったりと世話になっていたAさんは、そういった恩もあって「どうしても」と頼まれたボランティアを断れませんでした。
ですがAさんは、「役に立たない高齢者に何をしてやる必要があるのか」と、心の中でバカにしていました。

しかしボランティア当日、Aさんがひとりの高齢者の方の車イスを押してあげると、「ありがとう」というお礼が…。「孫に親切にしてもらっているみたいだ」と涙を浮かべるお年寄りの目に、Aさんは介護の意味が見えてきたそうです。

そしてAさんは、ボランティアとは関係ないところでも、この高齢者の方々が、昭和を力強く生きて社会の発展に尽くしてきたこと、そうした積み重ねによって 今があり、自分の大好きなインターネットが使用できていること、そういったことへの感謝の気持ちを自分が感じていることに、気が付くようになりました。

その後、Aさんはお年寄りの心理、身体的状態、リハビリテーションなど介護に必要な専門的な知識と技術を身に付け、施設職員として働き始めたのです。

Aさんは、最初はなんとも思っていなかった、いえむしろ嫌がっていた高齢者施設でのボランティア体験を通して、新しい自分の発見と、新たな道を見つけたのです。

あなたを必要とする人たちは、外の世界にいる

誰だって一人では生きていけません。いくら自立と言っても、支え合い、共に生きていく社会が前提にあります。自分には何ができるのか、それを見つけるためにも、まず外の世界に出てみなければはじまりません。

お年寄りや障害者、子どもたちとの出会いに、気付きや学びが見えてくることもあるでしょう。
あなたを必要としている人は、必ずいるはずです。

もしかすると、ニートや、ひきこもりだった経験が役に立つかもしれません。
具体化していくための手段として、職業技能訓練や専門学校などを活用してみるのもひとつの方法です。

どんな生き方をしていても、人は社会の中での役割を担い、常に人とつながりを持つ関係が保たれている状態に幸せを感じます。そんなつながりを、あなたも探してみませんか。

このコラムの著者

星野有史星野有史

1963年さいたま市生まれ。ベーチェット病により17歳で光を失う。1993年明治学院大学大学院博士後期課程単位取得。1989年よりアイメイト(盲 導犬)と歩行し、看護・福祉の専門学校、短期大学等で講義を担当、同時に福祉教育活動家として執筆・講演に勤める。現在、「ハーネス・ウィ研究所」の代表 講師として、人間力育成セミナー(通信制フリースクール)・福祉講演会等、幅広い分野で活躍中。著書に「夢をくれた盲導犬」ポプラ社「しっぽのはえたパー トナー」法研「盲導犬ミントの子守歌」ポプラ社「盲導犬キースのヒト観察記」相川書房「これからの福祉心理学」(共著)北大路書房他がある。